利休七則 五、
夏は涼しく冬暖かに

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その時、その場に合ったおもてなしを心がけることや、時間や心にゆとりを持つことの大切さなど、茶道の基本となるおもてなしの心構えが記された「利休七則」。私たちはいかなる場面においても最幸のおもてなしを尽くせるように、この七則を大切にしています。

利休七則 五、
夏は涼しく冬暖かに

六甲山の中腹に位置する有馬温泉。この時期は瀬戸内海に面する神戸市街地よりも気温が二〜三度下がります。年に数回ではありますが雪が舞うことも。この時期にしか味わえない湯煙が立ち込める温泉街も風情があります。

このように季節によって表情を変える有馬での一日を快適にお過ごしいただくために、私たちが心がけているのが「夏は涼しく冬暖かに」の心得です。これは私たちがおもてなしの基本として大切にしている利休七則にある心得のひとつです。利休の時代には、今と違って空調などはありません。その中で夏は涼しく冬は暖かに過ごせるよう、利休はさまざまな工夫を凝らしたと言います。夏であれば露地に打ち水をして涼を演出したり、冬には炉を切って炭を焚くのも、そのひとつです。重要なのは、視覚や聴覚など五感を使って涼や暖を感じさせることです。

例えば、当館ではお部屋に飾るお花や館内の植栽を通じて、涼や暖を演出しています。梅雨から夏にかけての蒸し暑い時期には、エントランスや庭園を飾る紫陽花で涼を表現。冬にはエントランスの垣根を赤く彩る寒椿が、雪の降る日には一段とよく映え、暖かい印象を与えます。寒椿の暖に、温泉の暖。この冬は、五感で暖を味わいにぜひ有馬へお越しください。

夏は涼、冬は暖を演出するために、食事の器もそれぞれの季節に応じたものを使用しています。また、6月〜9月のあいだは襖を葦戸に変更。よしずの簾が涼をもたらします。