人生をともにする物語
第五回 落とした思い出

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  • #客室係
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毎日、多くのお客様をお迎えする中の坊。お客様一人ひとりに今日ここに来られた意味があり、そこには人生の物語があります。その一つひとつに寄り添い、物語の一ページに花を添えるのが私たちの使命です。大きな責任と使命を胸に、私たちは今日もお客様をお迎えします。

苦い思い出を、
良い思い出に

観光へお出かけになっていたご家族が、ワンちゃんをお迎えにドッグアップヴィラへ戻ってこられたときのことです。「スマホを落としてなかったですか?」係の私に、そうおっしゃるお母様。お話をうかがってみると、娘さんのスマホが見当たらないとのことでした。

私は早速、館内を捜索。各所にも落とし物が届いていないか確認しました。しかし、残念ながらどこにも見当たらず。もう諦めなさいと諭すお母様と、諦めきれず曇った表情の娘さん。スマホには前日にドッグアップヴィラで撮影された写真もたくさん入っています。その他にもたくさんの思い出が詰まったスマホを諦めきれない娘さんのお気持ちは、痛いほどわかりました。このまま見つからなければ、楽しかった旅の思い出が、苦い思い出に変わってしまう。私は居ても立っても居られず、道中立ち寄られた高速道路のパーキングエリアを確認し、一つひとつ電話をかけていきました。すると、二件目でスマホを発見。娘さんとご家族に笑顔が戻りました。

それからしばらく経ったある日のこと。お母様から私宛てにお手紙をいただきました。拝読すると、そこには御礼のお言葉。あの一件のあと娘さんにも笑顔が戻り、良い旅行になったと綴られていました。私たちの仕事は、お客様の一日をかけがえのないものにすること。あのときの咄嗟の行動が、ご家族の良い思い出に繋がったことをうれしく思います。

久地石 昌代Masayo Kuchiishi

Dog Up Villaスタッフ

すべてのお客様に、ハッピーエンドでお帰りいただきたい。 そのために、仕事の範囲を決めず、自分にできるベストを尽くすよう心がけています。

すべてのお客様に、ハッピーエンドでお帰りいただきたい。 そのために、仕事の範囲を決めず、自分にできるベストを尽くすよう心がけています。